以下は実際のピック病患者:男性Aさんのケースをもとにした、患者の具体的な症状です。
このような症状に思い当たる節があれば、ピック病かもしれません。
Aさんは非常に勤勉で活動的な方でした。
そのため、会社でも仲間内でも大変信頼されていました。
休日でもじっとしていられないようなタイプで、庭いじりの大好きな方でした。
初老期痴呆(初老期とは歴年齢上の定義は45歳~65歳)の代表疾患がアルツハイマー病とピック病で、現状ではいずれも原因不明の大脳萎縮性疾患です。
アルツハイマー病がかなりその病因が解明されつつあるのに対し、ピック病は病因解明の糸口となるような特徴的病理像がありません。
そのことがピック病研究の立ち後れの原因となっていて、治療法はいまのところ発見されていません。そのため、介護が中心となっているのが現状です。
ピック病はアルツハイマー病に比して少なく、発生はアルツハイマー病の1/3~1/10といわれているます。
40代~50代に発病のピークがあり、平均発症年齢は49歳で、アルツハイマー病の平均発症年齢に比べ若干若いのが特徴です。
アルツハイマー病は女性にやや多いと言われていますが、ピック病に性差はありません。
アルツハイマー病の場合だと、記銘力・記憶力低下などの知的機能低下が初発症状に表れますが、ピック病の初期は記憶・見当識・計算力は保たれています。
認知症にも色々ありますが、人格障害が一番激しいのがピック病です。
アルツハイマー病の人格障害はピック病に比べれば軽く、脳血管性痴呆ではさらに軽いといわれます。
人格障害はたとえば、人を無視した態度、診察に対して非協力、不真面目な態度、ひねくれた態度、人を馬鹿にした態度などがあります。
しかし、本人に病識はありません。
症状として以下のような情緒障害があらわれます。
ピック病特有の症状といえるのが滞続言語です。
滞続言語とは、特有な反復言語です。会話や質問の内容とは無関係に、何を聞いても同じ話を繰り返します。
しかしこれらは他動的に誘発され、持続的で制止不能です。
CTやMRIを使い、局所性の脳萎縮(側頭葉、前頭葉に多い)があるかを調べます。
鑑別診断としては、アルツハイマー病、統合失調症があります。
語間代(例:ナゴヤエキ、エキ、エキ)が認められことが多いという特徴で鑑別されます。
統合失調症とはCT(MRI)を撮ることにより鑑別可能です。
経過はアルツハイマー病よりも短く2~8年で、衰弱し死亡することが多いようです。
こちらで紹介しているチェックリストは、ピック病の専門家によって作られたものですが、厳密にチェックできるものではありません。
おおまかなピック病の度合いを知るための目安としてご利用ください。
ご本人だけで行うと、自分に厳しくチェックをしてしまったり、それとは逆に甘くチェックをしてしまったりする可能性があります。
そういった場合にはご家族に協力をしてもらうほうがいいでしょう。その方がより客観的に判定できます。
40歳以上の方で、上のチェックリストで3項目以上当てはまると、ピック病の疑いがあるそうですが、ピック病かどうかの最終判定はこのテストだけではできません。
色々な診断などを行った上で専門家が総合的に診断します。
出来るだけ早めに医療機関を受診し、詳細な診断を受けることをお勧めします。
また、医療機関を受信する際にはできればピック病の専門医を訪ねることを、あわせてお勧めします。
ピック病チェックリスト:群馬県こころの健康センター・宮永和夫所長作成
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