認知症の基礎知識

まずは認知症に関する基礎知識をつけましょう。

認知症と関係のある病気認知症にも合併症があります。

 

認知症と関係する全身の病気

認知症は全身の病気と関係していて、認知症になると起こりやすい病気と認知症に悪影響を及ぼす病気があります。そのため、この両面から認知症を監視する必要があります。例えば、認知症で入院という場合には、頭だけでなく全身を調べ、認知症に関係した病気も発見・治療に当たることになります。

認知症になると起こりやすい病気

認知症になると、失禁(尿や便のお漏らし)、転倒による骨折、誤嚥(ごえん)性肺炎、不眠、栄養障害、うつ状態、歯の病気などにかかりやすくなります。進行して寝たきりになると、床ずれができたり、肺炎・膀胱炎などの感染症にかかりやすくなります。

認知症の進行を早めたり、悪影響を及ぼす病気

高血圧症、糖尿病、高脂血症などの病気にかかると、全身の血管の動脈硬化が進み、認知症の進行を早める可能性があります。また、認知症の症状を加速するものに視力障害、難聴、歯の異常、ビタミン不足などの栄養障害、甲状腺の病気があります。心臓・肺・肝臓・腎臓など内臓の機能が悪い場合も、認知症に悪影響を及ぼす可能性があります。

このように、認知症に関わる病気は全身に及びます。このことからも、認知症に関係した病気にかからないよう、また、病気にかかっても早く対応できるよう、日頃の心がけが重要です。

男女で異なる血管性危険因子

アメリカのDuke University Medical CenterのHayden KM医師らは、地域住民を対象に行ってきたCache County Study(正式名称は、Cache County Study on Memory, Health and Agingで、ユタ州立大学にセンターがある)からアルツハイマー病と血管性認知症に関する性別の血管因子について調べました。

この調査では、65歳以上の3,264人について、本人または代理人から心臓血管危険因子(高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、肥満)と病歴(脳血管障害、心臓冠動脈バイパス術、心筋梗塞)について詳しく面接しました。(アルツハイマー病と血管性認知症については標準的な基準で診断しました。)その結果、以下のことを認めました。

  1. 高血圧は、血管性認知症の発症リスクを高める
  2. 肥満は、女性でのみアルツハイマー病の発症リスクを高める
  3. 糖尿病は、女性でのみ血管性認知症の発症リスクを高める
  4. 脳血管障害発病後は、血管性認知症になりやすい

同報告は、アメリカの医学雑誌"Alzheimer Disease and Associated Disorders"の2006年4、5、6月号に掲載されています。

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