痴呆は高齢者の病気―そんな誤解をしている人が多いのではないでしょうか。
しかし、実は働き盛りの年代でも痴呆になることがあります。それが、近年よく耳にするようになってきた「若年性認知症」です。
若年性認知症は最近発見された病気なのではありません。100年前、ドイツで報告された最初の患者は50代だった、という記録が残っています。

若年性認知症とは18歳以上、65歳未満で認知症の症状がある場合を総称した言い方で、原因がつかめているものと原因が分からないものに分かれます。
旧厚生省の時代に若年性痴呆研究班が設置され、支援策の協議が進められるようになりました。
研究班は1996年度当時、患者数は2万5000人~3万7000人と推計しています。
しかし、現実にはその3倍以上におよぶとも言われています。
アルツハイマー型認知症というと、高齢のお年寄りの病気のように思われがちですが、もともとは若年性の病気で、その年代には起こらない病変が脳に起きてしまう病気なのです。
高齢化社会になり、高齢者のアルツハイマー型認知症が増えたことで、老人性アルツハイマー型認知症と若年性アルツハイマー型認知症は区別されるようになりましたが、脳に異常が起きて認知症が進行していくのには変わりありません。
若い人にみられるアルツハイマーは、脳の萎縮スピードも若い分、高齢者に比べると速く、社会的にも家族的にも大きな影響を与えます。
また、若い人の認知症はアルツハイマー型だけではありません。
たとえば、交通事故や転倒で脳障害を起こしたのが原因で認知症になる場合もありますし、脳梗塞などの血管性の障害から起こる認知症もあります。
いまだに原因がよく分かっていない若年性アルツハイマー型認知症ですが、ここ最近になって遺伝も考えられるのではないかといわれるようになってきました。
若年性アルツハイマー型認知症には「プレセニリン」という家族性の危険因子が関与しているということまで分かっています。
しかし、それも一部のケースで、大半はまだ分かっていません。
札幌医科大学の研究によれば、若年性アルツハイマー病発症者の特徴として「立体図形が描けない」ことをあげています。
患者は頭の中では箱の図形をイメージできるのですが、紙にそれを書くことはできないのだそうです。
しかし、板をのこぎりで切って箱を作ることはできるのだとか。
もちろん、必ず進行していくことには変わりなく、進行が進めば家族の顔も分からなくなります。
しかも40歳代患者の場合、高齢者に比べ2倍以上のスピードで病気が進行します。
現在、脳の神経細胞が消失してしまう病気を総称して認知症と呼ぶのが正しいとされています。
また、認知症はその原因や特徴から「アルツハイマー型認知症」と「脳血管性認知症」の2つに大きく分けられます。
この2つの要素を持ち合わせた認知症は「複合型認知症」と呼ばれます。
そして、高齢者の認知症を「老年性認知症」、比較的若い世代の認知症を「若年性認知症」と呼びます。
アルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞が急激に減ってしまい、脳が病的に萎縮して知能低下や人格崩壊が起こる病気です。
一方、脳血管性認知症は、脳血管の障害によって、脳の働きが悪くなって起こります。
| アルツハイマー型認知症 | 脳血管性認知症 | 複合型認知症 | |
|---|---|---|---|
| 特徴 | 発症から、5~10年で死亡 女性に多い 自覚症状はない 少しずつ確実に進行する 人格的に崩壊してしまう場合が多い | 発症から、数年で死亡 男性に多い 自覚症状は初期段階にはある 良くなったり悪くなったりする 人格は保たれる場合が多い | アルツハイマー型と、脳血管性認知症の特徴が複合している |
| 発症時期 | 18以上65歳未満=若年性認知症(初老期認知症) 65歳以=老年性認知症 | 脳卒中や、脳梗塞の発症に伴って起こる |